妄想話

海をたゆたふ

人が「人とは異なる生物の遺伝子」を身体に取り入れて、新たに違う人種となること。それが神の意志に反する行為だと多くの者がいう。 小さな頃、人間は違う生き物の遺伝子を口にすることで生き永らえているのに、その消化された生物がはっきりと目に見える形で身体に現れないことが不思議で仕方がなか...

妄想話

「この子」のいる書店

それはある日、この小さな書店の中へ飛び込んできた。  少し遅いお昼ご飯を食べ終わり、店番をしていた妻と交代したところであった。 いつも通り、時刻は二時を過ぎた頃であっただろう。 その時は、確かに店の中に客は一人もいなかったはずだ。  「おい、居るんやろ?」  店の入り口の方から、...

妄想話

俺の人生を超えて逝け

  今や先人の知恵や技術などは、お金さえ出せば簡単に手に入る時代になった。 お気に入りの音楽を聴くように、気になった本を書架から一冊抜き取るように。 国民は祖先が代々受け継いできた能力を引き継ぐ権利があり、この先の国の未来へと紡いでいく義務があるのだ。 もはや「伝統」という言葉は...

妄想話

とんぼのめがね は きみいろめがね

一台の小型ロボットが部屋の片隅で羽を休めている。 時おり頭をころころと傾けては、今日もプログラム通りに『トンボ』を演じている。    ー ー ー ー 昔、ボクが幼い頃のことだ。 おもちゃメーカーが子ども用に手掛けた昆虫ロボットが流行った時期があった。 「カブトムシ、クワガタ、トン...

妄想話

昼下がりの午後、病院にて。

この国の医療はコンピューターロボットが全てを担っており、 診察、手術に関しては24時間365日行われている。 病院の正面入り口を入ってすぐのロビーにボックスがいくつも並んでいる。 ボックスの中には一台のコンピューターと椅子が置かれている。 個室に入り、診察券をモニター横のリーダー...

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断片的な彼女

「テレビってさ、深夜帯で面白かった番組がゴールデンに移ったら、何でだろうね。おもしろくなくなる気がするの」 「そう?気分的なモノもあるんじゃない?」 「寝る前の時間帯と、その…皆さんがお食事なさってる時間帯の?」 「そうそう。実験してみようか?それぞれの時間帯の番組をいくつか録画...

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幸せの表現

「高額当選宝くじが欲しい」 そんな思いを抱くのは、きっと以前からもそうであって、この身体が発する異臭のせいではない。 本気でそう思い、そう願うのかと問われるならば当然だと答えるが、ではそれで今のあなたは幸せになれるのかと続けられると自信がなかったりする。 「その人に見合わない...

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創造の神

  音楽(リズム)と実験が好きな神がいた。 その集大成として生態系を造り、主に「地球」という星の観察に重きを置いていた。 しかし実験の最中、意見を述べる人間という生き物が鬱陶しいと感じ始め、一先ず声を取り去った。 途端に彼らは混乱に陥りスピード感がなくったが、すぐさま生意気にも文...

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ふっかつのじゅもん

「では、こちらへお座りください」 「これから、こちらの薬をお飲みしていただきます。前々からの説明の通りになります」 「えぇ。飲んでいただいた30分後、仮死状態に陥ります」 「はい。大丈夫ですよ、説明の通りです」 「えぇ、リラックスした状態の方がより記憶が文字へ変換されやす...

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セツナ

確かはじめの頃は「切り込みのセツナ」と呼ばれていた。 それが「死にたがりのセツナ」から「不死身のセツナ」に変わり、今では「死神のセツナ」「死神」と呼ばれ、敵に恐れられるようになった。 今や敵味方を含めて彼女を知らない者はいないだろう。 彼女は常に先陣を切って戦っていた。 所属して...