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「この子」のいる書店
それはある日、この小さな書店の中へ飛び込んできた。 少し遅いお昼ご飯を食べ終わり、店番をしていた妻と交代したところであった。 いつも通り、時刻は二時を過ぎた頃であっただろう。 その時は、確かに店の中に客は一人もいなかったはずだ。 「おい、居るんやろ?」 店の入り口の方から、...
俺の人生を超えて逝け
今や先人の知恵や技術などは、お金さえ出せば簡単に手に入る時代になった。 お気に入りの音楽を聴くように、気になった本を書架から一冊抜き取るように。 国民は祖先が代々受け継いできた能力を引き継ぐ権利があり、この先の国の未来へと紡いでいく義務があるのだ。 もはや「伝統」という言葉は...
とんぼのめがね は きみいろめがね
一台の小型ロボットが部屋の片隅で羽を休めている。 時おり頭をころころと傾けては、今日もプログラム通りに『トンボ』を演じている。 ー ー ー ー 昔、ボクが幼い頃のことだ。 おもちゃメーカーが子ども用に手掛けた昆虫ロボットが流行った時期があった。 「カブトムシ、クワガタ、トン...
昼下がりの午後、病院にて。
この国の医療はコンピューターロボットが全てを担っており、 診察、手術に関しては24時間365日行われている。 病院の正面入り口を入ってすぐのロビーにボックスがいくつも並んでいる。 ボックスの中には一台のコンピューターと椅子が置かれている。 個室に入り、診察券をモニター横のリーダー...