コトナカレ

欺きし男の置き土産

世の乱れ、人の心も荒れまさり、 頼むべき人を頼みがたく、 すがるべき手をも取り得ぬ世なり。 道行く人の哀れを誘ひ、 帰郷の路銀を乞ふ者あり。 その言葉を信じ、銭を恵みしに、 恩を仇にて返されぬ。 情けの心は欺きの糧となり、 残るは悔いと、人を疑ふ心のみ。 独り闇路をさまよひて、 ...

コトナカレ

何をか胸に留めけむ

面影を追い、変わらぬものを慕いて、世の移ろいを眺むる日々なり。されど、目に映るものは数多あれど、心に残るものはわずかなり。 人に語らんとすれば言の葉乱れ落ち、伝えたきことも見失い、ついには胸の内さえ定かならず。されば人と語るを避けれども、心通わす言の葉への憧れは、なお消えず。 己...