コトナカレ

終わりの始まり

終わりの始まりを想ったのは いつの頃だったか それはもう 思い返せないが いつしか 歩んできた道の 確かにあった 別れ道すら 今はもう 確かではない 独り慎に 雨音を擬えるように 在ること無いこと その境目に佇めば つい今し方 瞬きの先に もう 暗闇しか視えなくもない

コトナカレ

業の世に融け入る

世の大いなる転じ目に至るとき、人はおののき、旧き世にとどまらむとす。 その胸には、生業を失ふ憂ひあり、秘めし事の露はるる怖れあり。 世の営みの乱れゆくを案ずる心あり。 人の糧を奪ひ、秘事を洩らし、ひとたび過ちあらば、世を支ふる大いなる仕組みをも損なふことあらむ。 禍を生む知あらば...

妄想話

朝からモラルの葬儀

明け方、スマートフォンの画面が断続的に白く光っていた。見れば通知が百件を超えている。 グループチャットで、また誰かが変な動画でも送ったのかもしれない。そう思いながら画面を開くと、見たことのない通知が一番上に表示されていた。 『あなたに関連する可能性のある画像が公開されています』 ...

コトナカレ

欺きし男の置き土産

世の乱れ、人の心も荒れまさり、 頼むべき人を頼みがたく、 すがるべき手をも取り得ぬ世なり。 道行く人の哀れを誘ひ、 帰郷の路銀を乞ふ者あり。 その言葉を信じ、銭を恵みしに、 恩を仇にて返されぬ。 情けの心は欺きの糧となり、 残るは悔いと、人を疑ふ心のみ。 独り闇路をさまよひて、 ...

コトナカレ

何をか胸に留めけむ

面影を追い、変わらぬものを慕いて、世の移ろいを眺むる日々なり。されど、目に映るものは数多あれど、心に残るものはわずかなり。 人に語らんとすれば言の葉乱れ落ち、伝えたきことも見失い、ついには胸の内さえ定かならず。されば人と語るを避けれども、心通わす言の葉への憧れは、なお消えず。 己...

コトナカレ

いづこまでが夢なるか、分ちがたし

『夢幻の難、現に重ねて小さき惑い生ず。然れども幻はただの夢に過ぎず』 夢路(ゆめじ)より醒めて、その現(うつつ)ならぬ様を思えば、基となりし景色や事なども、確かに古きままに残る心地して、いと懐かしき余韻に浸るなり。 …然れども、心に小さき惑(まど)いの生じければ、良く良く思い返す...

コトナカレ

世の小さきに添わぬまで

『大足の難、フリマにて容易く解決思いのほか成り。それ鑑賞は別として、履けざれば履物に非ず』 足の大きき者にとって、履物選びは常に苦難の道なり。 店先を覗けば棚の端に僅かを残すのみ、買い求めんとすれば在庫の尽きること多し。 然れども、この規格外という負いは、フリマという市においては...

かくれんぼ

かくれんぼ

妄想話

「人間国宝の機微」

山陰の湿った風が、古い作業場の格子戸を揺らしていた。 薄暗い部屋の奥、欅(けやき)の巨木と向き合う人間国宝・貞治(さだじ)の前に、それは静かに佇んでいた。 多関節のしなやかなアームと、無数の光学センサーを備えた自律彫刻システム、コードネーム「瑞雲(ずいうん)」だった。 「これが、...