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寝付けない、ながい夜。 カーテンを開いたまま、硝子窓の外を。 霞んだ雲に潜っては顔を出す、少し欠けた月を。 ベッドに横になったまま、長い時間、目で追っていた。 月明かりの下で洗濯物がやわらかに風に揺られている。 洗濯物を夜に干すのは、きっと、亡き母を傍に感じられるからだ。 母...
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「ひさしぶりだね」 小さな山の中腹にある、誰も居ない、誰が管理しているのかも知れない。 そんな 教会の前にある朽ちたベンチに腰をかけて。 暮れていく街並みを眺めていたら背後からそんな声が聞こえた。 「また、さがしもの?」 淡々と話しかけてくるその声に対して、返事はいつも通り...
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山陰の湿った風が、古い作業場の格子戸を揺らしていた。 薄暗い部屋の奥、欅(けやき)の巨木と向き合う人間国宝・貞治(さだじ)の前に、それは静かに佇んでいた。 多関節のしなやかなアームと、無数の光学センサーを備えた自律彫刻システム、コードネーム「瑞雲(ずいうん)」だった。 「これが、...