業の世に融け入る

2026-10-25

コトナカレ

世の大いなる転じ目に至るとき、人はおののき、旧き世にとどまらむとす。

その胸には、生業を失ふ憂ひあり、秘めし事の露はるる怖れあり。

世の営みの乱れゆくを案ずる心あり。

人の糧を奪ひ、秘事を洩らし、ひとたび過ちあらば、世を支ふる大いなる仕組みをも損なふことあらむ。

禍を生む知あらば、禍を鎮むる知もまた生まれむ。

身の守りを各々の手にのみ委ぬるは足らず。

人とを結ぶ道、世の営みを支ふる大いなる仕組みにも、備へを怠るべからず。

新しき知を畏れて退くも危うし。

これを信じて身を委ぬるもまた危うし。

知を御するは人の心なり。

知に御せらるることなかれ。

目先の利を追へば、禍の兆しを見失はむ。

世の移ろひを見定め、栄枯盛衰の理をわきまへ、遠き末を思ひて備ふべし。

今はなお、行く末定かならぬ世なり。

衰へしものの内に、後の世を照らす灯りの萌しを見ることもあらむ。

安しとて手を伸ばせば、思はぬ禍に遭ふこともあらむ。

畏れのみにて退かず、望みのみにて進まず。

人の知と相交へ、いかなる世を築くか。

その行く末を定むるは、なお人の心にぞありける。