世の乱れ、人の心も荒れまさり、
頼むべき人を頼みがたく、
すがるべき手をも取り得ぬ世なり。
道行く人の哀れを誘ひ、
帰郷の路銀を乞ふ者あり。
その言葉を信じ、銭を恵みしに、
恩を仇にて返されぬ。
情けの心は欺きの糧となり、
残るは悔いと、人を疑ふ心のみ。
独り闇路をさまよひて、
呼べど答ふる声もなく、
孤独の淵に沈むこと、
これぞ人の世の、最も恐ろしきことなり。
只元より誠ある世など無きことを、
幼き頃に得ていたものが何故に。
されど、情けの灯まで消え果てば、
闇路をゆく人、いずこに救ひを求めん。
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