白い空間『 』

白い空間『綱渡り』

その、夢というものを見たことがない。 皆と同じように、一日の終わりとしてベッドに横たわり眠りに入る。 そこまでは同じだろう。 ただ、その眠りから先が大きく逸脱していく。 次の瞬間、眼前に広がるのは真っ白い世界。 なぜか私は現実世界で眠りに入ると「白い空間」へと誘われるのだ。 そこ...

白い空間『 』

白い空間『灰色の均霑』

目の前が真っ白に染まった。 いつものことだ。 現実世界で眠りに入ると、私は白い空間に誘われる。 その原因はわからないが、そんな定めの中に私はいる。 いつものように白い空間を彷徨い歩いていると無数の扉が現れはじめた。 どれか一つの扉を選択し、どんな世界が待ち受けていようと踏み込まな...

白い空間『 』

白い空間『道標』

目を閉じると直ぐに白い空間が広がった。 私には睡眠中、強制的に別の世界で目を醒まし、そこで時を過ごさなければならないという不思議な習性がある。 その現象が起きるのは幼少の頃からで、眠りに入れば必ずやってくる。 白い世界をしばらく歩けば、周囲に白いドアが浮かび上がってくる。 そのド...

白い空間『 』

白い空間『蟻』

みすぼらしい。 ドアから少し顔を出し様子をうかがったのだが、そこに広がる世界を覗き込めばそんな言葉が頭に浮かんだ。 すぐ目の前にはボロボロの服を着た、背の低い女性の背中が見えた。 砂埃にまみれ、枯草のよう垂れ下がった髪が後ろで4つに束ねられている。 異臭が立ち込める世界に戸惑いな...

白い空間『 』

白い空間『天国旅行』

電車が長いトンネルを抜けるとそれまでの景色は一変し、勢いよく雪が降り始めた。 トンネル、高い山々、海からの風、山越え、冷却…ガタンゴトン、白銀の世界へ。 今日は連休の初日、朝からいそいそと用意をして、電車で片道2時間ほどの温泉地を目指した。 一泊二日の現実逃避の予定だ。 私には、...

白い空間『 』

白い空間『篝火』

就業中、ずっと体調が悪かった。 具体的には発熱と頭痛と吐き気が常時続いた。 しかし、それを仕事を早退する理由とするにはこの部署に措いてはパンチが利かない。 やり場のない不快感を抱えて、じっと耐えるしかない一日だった。 帰りの電車でも、直立して吊革を握るのも耐え難く、背を丸め、短く...

白い空間『 』

白い空間『門番』

目が覚めた。 何もない白い空間を突き進んでいると、突然、一つの扉が現れた。 毎夜、この不思議な世界に連れていかれる度に思うことがある。 扉の先には、現実世界にとてもよく似ている部屋もあれば、全くこれまでの価値観が通用しない部屋など様々な世界が広がっている。 でも、その扉をくぐって...

白い空間『 』

白い空間『努々』

真っ白な世界に扉が現れた。 いつも通り、現実の私は眠りに入っているのだろう。 しかし、これは皆が思い浮かべるような夢ではない。 この扉は別に存在する、不思議な世界への入り口だ。  ー ー ー ー ー 白い空間を彷徨った先。 目の前に現れた扉を抜けた瞬間に、私はそこで作業に没頭して...

白い空間『 』

白い空間『告白』

お願いがあります。 どうか聞いてください。私の話を。 誰にも言えない秘密を抱えて、小さい頃から生きてきました。 でも今日は、その秘密をあなたに打ち明けることで「楽」になりたいと思います。 私には、物心付いた頃から不思議に思っていることがありました。 それは私が寝ている時にいつも起...