無国籍活動集団「alias」

「手向けの花」

「オークション史上、最高額で落札されたものを知ってる?」 と訊かれると難しいかもしれない。 ただ、それにヒントとして植物、または音響器具、スピーカーと付け加えていくとどうだろう。 音楽に詳しくない人でもオークションに関心のない人でも、それだったらと皆の口から出てくる。 一本の樹...

妄想話

AI小説家

目覚めると同時に、ゆっくりと体を翻す。 全身が汗でじっとりと湿っていて、背中には不快感がベットリとこびり付いていた。 嫌な夢を断続的にみていたのは覚えている。 最近の職場では、上司と部下の板挟みにあい苦悩していたが、こんな夢をみるのはストレスが原因だろうか。 イベント開催まで残り...

妄想話

接ぎ木の家で素知らぬ顔

一瞬で情報が地球の反対側にまで飛び、人や物が軽々と国境を越えていく。 はるか上空では衛星がひしめき合い、街中では監視カメラが常に日常を記録し続けている。 そんな中で、人々はいつでも刺激ある何かを探している。 誰かが声を上げればそっちへ群がり、貪られた発見はすぐに枯れていく。 常に...

白い空間『 』

白い空間『蟻』

みすぼらしい。 ドアから少し顔を出し様子をうかがったのだが、そこに広がる世界を覗き込めばそんな言葉が頭に浮かんだ。 すぐ目の前にはボロボロの服を着た、背の低い女性の背中が見えた。 砂埃にまみれ、枯草のよう垂れ下がった髪が後ろで4つに束ねられている。 異臭が立ち込める世界に戸惑いな...

妄想話

案山子の真似事

整った容姿。自然なウォーキング。 会話の受け答えも難なくできる。 「着衣用商業人工モデル」 そんな飾り気のない言葉で説明されても、多くの人にはきっと伝わらない。 それなのに、略称や正式名称があったりするのはなぜなのだろう。 人の都合とは分からないもので、その分からないものから...

妄想話

死が二人を別つまで

「その健やかなる時も 病める時も 喜びの時も 悲しみの時も 富める時も  貧しい時も これを愛し これを敬い これを慰め これを助け  いつか死が 二人を別つまで  お互いが 愛し慈しみあうことを 誓いますか?」  ー ー ー ー きっかけは、彼女の上機嫌だった。 雨上がりの休日...

白い空間『 』

白い空間『天国旅行』

電車が長いトンネルを抜けるとそれまでの景色は一変し、勢いよく雪が降り始めた。 トンネル、高い山々、海からの風、山越え、冷却…ガタンゴトン、白銀の世界へ。 今日は連休の初日、朝からいそいそと用意をして、電車で片道2時間ほどの温泉地を目指した。 一泊二日の現実逃避の予定だ。 私には、...

白い空間『 』

白い空間『篝火』

就業中、ずっと体調が悪かった。 具体的には発熱と頭痛と吐き気が常時続いた。 しかし、それを仕事を早退する理由とするにはこの部署に措いてはパンチが利かない。 やり場のない不快感を抱えて、じっと耐えるしかない一日だった。 帰りの電車でも、直立して吊革を握るのも耐え難く、背を丸め、短く...

妄想話

三ノ国‐大樹のしずく‐

かつて、この島国は今のように統一された一つの国ではなく、三つに分かれた小国があったと伝えられている。 今でこそ不自由なく資源が隅々まで行き届いているようにも感じられるが、その昔は極端な自然環境で国が分かれていたそうだ。 ある国では、渡り鳥が糞に混ぜた種を雨のように上空から撒くとい...

妄想話

寄生木の下で

とある学会の研究発表の場で突如、それは起きた。 壇上に上がった博士の背中を、枝木のようなものが突き破り這い出てきたのだ。 当初、一部のメディアが博士の尊厳よりも事の緊急性を煽ったために、この不気味な映像が一瞬だけ大衆の目に触れた。 それからは見つかり次第に削除されるシークレット動...