妄想話

遅ればせの育児

拾い損ねた空き缶が足元に転がった。 重い腰を屈めると自分も老いたものだと思い知らされる。 これまでにわたしが飲み干したビール缶は、何千本くらいに及ぶのだろう。 振り返れば、それぞれの場面には必ずお酒が絡んでくる。 仕事終わりに、寝る前に、休日に。365日、それを何年も繰り返した。...

妄想話

ならず者たちの巣くう島

この世の中には様々な国があって、肌の色や目の色、話す言葉が違う人達が集まって一つの世界で生活をしている。 そして、各々の国で蔓延っている歴史に文化、宗教というものがあることをわたしは知っている。 …島から一歩も出たことがないのに。   ー ー ー ー   わたしがこの小さな人工島...

妄想話

誓いの言葉

小さい頃は、ただ生きてさえいればいつか結婚して、どこにでもあるような家庭を築いていくのだろうと、たぶんそんなことを考えていた。 それは誰にでも平等に、じっと待つまでもなく、いずれ自然と訪れるようなものだと思っていた。 でもいつしか、それがただ出席さえしていれば進級資格を得られるよ...