妄想話

依存症の雨の過ごし方

日曜日の朝は、なぜに目覚めた瞬間に休みだと理解できるのだろう。 あぁ、煩わしい。頭痛がする。 一本だけ蓋の開いていない缶がリビングの脇に転がっている。 そうだ。 飲み口を開けず、そのまま口元に持っていって歯をぶつけた。 酔っ払いを鼻で笑い、まぁでも、これくらいの量ならばアルコール...

妄想話

闇の語源と催眠術

他人の生き方を肯定するということは、自分のいまの生き方を否定することにならないか、という一文を、読みかけの本の中にみつけたあたし。 他人に当たる人物とは。 職場の人間がピラミッド型に描かれた人物相関図を脳内に広げて、その中からその他人に適合する人を思い浮かべてみた。 すると思いの...

妄想話

悲しみの淵

「ひさしぶりだね」 小さな山の中腹にある、誰も居ない、誰が管理しているのかも知れない。 そんな 教会の前にある朽ちたベンチに腰をかけて。 暮れていく街並みを眺めていたら背後からそんな声が聞こえた。 「また、さがしもの?」 淡々と話しかけてくるその声に対して、返事はいつも通り...

妄想話

とある、立ち位置

「彼は突っ立って背を向けたまま、何をかちゃかちゃと手元を動かしているんだろう。水をそんなに流し続けて、彼はいったい何をしているのだろう…ってきっと、そう遠くない未来に生きる、未来人に好奇の目で見つめられている真っ最中なんだと、ボクはそう思うね」 「急に不満げな顔で振り向いて何な...