妄想話

セツナ

確かはじめの頃は「切り込みのセツナ」と呼ばれていた。 それが「死にたがりのセツナ」から「不死身のセツナ」に変わり、今では「死神のセツナ」「死神」と呼ばれ、敵に恐れられるようになった。 今や敵味方を含めて彼女を知らない者はいないだろう。 彼女は常に先陣を切って戦っていた。 所属して...

妄想話

あの俳優の、人には言えない趣味

芸名は「物部 大河」現在30歳。 特撮ヒーローのオーディションで受かり、18歳で俳優としてデビューした。 3年前から、活動の場を国内ドラマからアジア映画の世界へと移しはじめ、来年からは英語圏での映画撮影が始まる。 年々多忙になっているとは自覚しているが、そこは幼い頃からの趣味が...

妄想話

石像の母

ー わたしの目の前にいるだろう、愛しい娘。 あなたには今、わたしのことがどのように映っているのだろうか ー  前日から降り続いた雨が止んで、雲ひとつない青空が広がっている。 わたしは一歳に満たない、幼いわが子をベビーカーに乗せて外へ連れ出た。 近くのスーパーへ買い物に行った帰...

白い空間『 』

白い空間『努々』

真っ白な世界に扉が現れた。 いつも通り、現実の私は眠りに入っているのだろう。 しかし、これは皆が思い浮かべるような夢ではない。 この扉は別に存在する、不思議な世界への入り口だ。  ー ー ー ー ー 白い空間を彷徨った先。 目の前に現れた扉を抜けた瞬間に、私はそこで作業に没頭して...

妄想話

息継ぎのいらない休息

帰宅して、食事を済ませ、さて一息つこうという時になると決まって浴室に移る。 服を脱ぎ、裸になり、栓をしただけの浴槽に入る。 そこから、おもいきり蛇口をひねる。 勢いよく水が浴槽に広がっていく。 足を十分に伸ばせるタイプの浴槽の底へ、背中を合わせる。 徐々に溜まっていく水。その圧力...