妄想話

悲しみの淵

「ひさしぶりだね」 小さな山の中腹にある、誰も居ない、誰が管理しているのかも知れない。 そんな 教会の前にある朽ちたベンチに腰をかけて。 暮れていく街並みを眺めていたら背後からそんな声が聞こえた。 「また、さがしもの?」 淡々と話しかけてくるその声に対して、返事はいつも通り...

妄想話

とある、立ち位置

「彼は突っ立って背を向けたまま、何をかちゃかちゃと手元を動かしているんだろう。水をそんなに流し続けて、彼はいったい何をしているのだろう…ってきっと、そう遠くない未来に生きる、未来人に好奇の目で見つめられている真っ最中なんだと、ボクはそう思うね」 「急に不満げな顔で振り向いて何な...