妄想話

とんぼのめがね は きみいろめがね

一台の小型ロボットが部屋の片隅で羽を休めている。 時おり頭をころころと傾けては、今日もプログラム通りに『トンボ』を演じている。    ー ー ー ー 昔、ボクが幼い頃のことだ。 おもちゃメーカーが子ども用に手掛けた昆虫ロボットが流行った時期があった。 「カブトムシ、クワガタ、トン...

妄想話

昼下がりの午後、病院にて。

この国の医療はコンピューターロボットが全てを担っており、 診察、手術に関しては24時間365日行われている。 病院の正面入り口を入ってすぐのロビーにボックスがいくつも並んでいる。 ボックスの中には一台のコンピューターと椅子が置かれている。 個室に入り、診察券をモニター横のリーダー...

妄想話

断片的な彼女

「テレビってさ、深夜帯で面白かった番組がゴールデンに移ったら、何でだろうね。おもしろくなくなる気がするの」 「そう?気分的なモノもあるんじゃない?」 「寝る前の時間帯と、その…皆さんがお食事なさってる時間帯の?」 「そうそう。実験してみようか?それぞれの時間帯の番組をいくつか録画...

妄想話

幸せの表現

「高額当選宝くじが欲しい」 そんな思いを抱くのは、きっと以前からもそうであって、この身体が発する異臭のせいではない。 本気でそう思い、そう願うのかと問われるならば当然だと答えるが、ではそれで今のあなたは幸せになれるのかと続けられると自信がなかったりする。 「その人に見合わない...

妄想話

創造の神

  音楽(リズム)と実験が好きな神がいた。 その集大成として生態系を造り、主に「地球」という星の観察に重きを置いていた。 しかし実験の最中、意見を述べる人間という生き物が鬱陶しいと感じ始め、一先ず声を取り去った。 途端に彼らは混乱に陥りスピード感がなくったが、すぐさま生意気にも文...

妄想話

ふっかつのじゅもん

「では、こちらへお座りください」 「これから、こちらの薬をお飲みしていただきます。前々からの説明の通りになります」 「えぇ。飲んでいただいた30分後、仮死状態に陥ります」 「はい。大丈夫ですよ、説明の通りです」 「えぇ、リラックスした状態の方がより記憶が文字へ変換されやす...