妄想話

「一緒にお風呂に入らない」と言った日から

「さすがにまだ小さいから、まだ一緒にお風呂に入ってあげてるよね?」 仕事帰りにスーパーで買い物をしていると、そんな会話を耳にした。 傍に子どもを連れた母親同士が話をしている。  わたしの場合は、まだ思春期に入るずいぶん前だった。 お風呂に入ることがどこか面倒なことに思え、...

妄想話

「peephole」~のぞき見されるモノとするモノ~

 わたしは今、プライベートのない部屋で生活している。 「peephole(のぞき穴)」に身も心も預けてしまってからというもの、わたしは全て覗き見されてもおかしくない状況下にある。 ここで生活するにあたって与えられた名はメアリー。 ご主人様にいただいたニックネームだ。 目隠しされ...

妄想話

深夜の雨が奏でる記憶

以前からも、もしかしたら聞こえてきていたのかもしれない。 今までずっと意識しなかったそれが、今夜はなぜか気になっただけなのかもしれない。 天気予報はあたった。深夜からの雨に見送られ会社を出た。 終電に乗っていると、意外と人が乗っているものだと時々思うことがある。 そういう時は自分...

白い空間『 』

白い空間『告白』

お願いがあります。 どうか聞いてください。私の話を。 誰にも言えない秘密を抱えて、小さい頃から生きてきました。 でも今日は、その秘密をあなたに打ち明けることで「楽」になりたいと思います。 私には、物心付いた頃から不思議に思っていることがありました。 それは私が寝ている時にいつも起...

妄想話

幸せな国にあるパッカー車

ストレス物質が解明され、対処法が確立された昨今。 この国の朝はとても穏やかだ。 おやすみ前にカプセルを一錠飲むだけで、翌朝すっきりと目覚めることができる。 一日の生活で蓄積されたストレスは、翌朝の枕元へ転がっている。 カプセルを服用すると睡眠中にストレスを含んだ呼気が集まり、一つ...